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事例からみる広告法コンプライアンスについて(3)——比較広告中の法的リスクに留意すべき

2020-10-19/ 弁護士コラム/ 金英兰 李霆辉

比較広告は対比広告や競争広告とも呼ばれています。一般的な商業広告と比べて、比較広告は、自らの商品·役務の競争上の優勢を顕示することができ、更に直観的な宣伝效果を有しています。このため、多くの広告の形式の中で、比較広告は更なる好評を博しています。

消費者としては、商品の購入には常々「同一製品には三軒の対比」が要るものだと言われていますが、しかし、企業からみれば、比較広告を出稿する際には、最大限の注意が必要となり、ひとたび不注意な点があれば、処罰されるおそれがあります。

【案件の概要】

上海信佳汽車銷售服務有限公司(以下「上海信佳」)は、克萊斯勒(中国)汽車銷售有限公司の授権ディーラーであり、主にジープやダッジ等の自動車ブランドの販売に従事している。2015年11月に、上海信佳は「ジープ·チェロキー」(中国語:自由光)という車種の店頭販売に協力するため、北京達之広告有限公司を通じて「ジープ·チェロキー」―「上海大衆社の Tiguan」(中国語:途観)―「上汽通用社のBuick-ENVISION」(中国語:昂科威)の間で比較を行った床用広告ステッカーと背景用展示パネルの広告を制作した。

上海信佳は床用広告ステッカーの中で、「ジープ·チェロキー」の車両の性能を際立たせるために、「ジープ·チェロキー」とその競合車種である「Tiguan」および「Buick-ENVISION」に対し、エンジンアセンブリ、シャーシー、クルーズ等の面で比較を行い、「ジープ·チェロキー」の技術は更に先進的で、乗り心地は更に快適であると自称し、いろんな語句を使って「Tiguan」と「Buick-ENVISION」に対する中傷を行っていた。背景用展示パネル広告の中では、上海信佳は更に直接に「Tiguan」と「Buick-ENVISION」を「アマチュアSUV」と呼んでいた。

上海市浦東新区の市場監督管理局は調査後に、上海信佳が出稿したこれらの比較広告には競争相手に対する中傷が含まれており、「広告法」第十三条の「広告は、その他の生産管理者の商品·役務をおとしめてはならない」という規定への違反に属するものと認定した。最終的に、上海市浦東新区の市場監督管理局は、「広告法」の関連規定に基づき、当該広告の出稿の停止を上海信佳に命じ、かつ、人民元10万元の過料に処した。

【弁護士のコメント】

1. 比較広告の違法リスク

中国の「反不正当競争法」や「広告法」等の法律·法規の中では、比較広告に対して原則的には許可し、例外的に禁止する制度が採択されており、すなわち、医療·薬品·医療器械·保健食品の広告を除き、現行の法律の下では、比較広告の商事活動の中での運用は、禁止されていません。

「広告法」第十三条においては、広告はその他の生産管理者の商品·役務をおとしめてはならないと規定されており、これは比較広告が容易に抵触する違法リスクの一つです。「おとしめる」という単語の定義について、2015年8月に法律出版社から出版された、全国人民代表大会常務委員会の法律工作委員会の副主任を当時務めていた郎勝氏が編集を担当した「中華人民共和国広告法解釈」中の新たな広告法第十三条についての説明においては、「広告において、虚偽の事実をねつ造·散布し、または真実の状況に対して歪曲を行い、これにより競争相手の商品·役務に対して誹謗中傷·軽蔑を行うのは、一種の不当な競争手段であるだけではなく、さらには、消費者を誤導し、消費者の合法的な権益を侵害する。このため、広告法においては、これに対する明確な禁止が行われている。」と述べられています。同書の中では、広告中の「おとしめる」という行為に対しても、三種類の主な表現形式が列挙されており、相当の参考価値があります。一つ目は、比較結果を偽造し、または比較可能性を有しない点を選択し、競争相手の商品·役務が自分たちには及ばない旨を宣伝することです。二つ目は、不合理な比較条件を設定し、客観的·全面的ではない競争相手にとって不利な比較結果を宣伝することです。三つ目は、広告中においては比較を行わず、単に競争相手の商品·役務をさげすみ、競争相手への攻撃を通じて間接的に自分たちの競争上の優勢を向上させることです。

一般的に述べますと、当局が比較広告の違法性の有無を判断する際には、主として、広告内容(真実性)、目的(正当性)、および結果(誤導の性質)という三つの面から総合的な考慮を行います。実践においては、時間の長さや表現技術等の制限により、企業にとっては、広告の中で全面的かつ詳細な比較を試みるのは、相当に困難なことであり、これに加えて、広告主は競争相手の製品·役務に対しても自社の物と同様に理解しているはずはなく、広告主が自分たちの製品·役務を用いて競合品と比較を行うと、極めて容易に比較が客観的でも全面的でもないという結果にとどまるおそれがあります。

「広告法」第二十八条においては、広告が虚偽の、または人を誤解させる内容をもって消費者を騙し、または誤導した場合には、虚偽の広告を構成するものと規定されています。もしも比較広告の中に、合理的かつ明確な科学的根拠の引用がなく、偏った誤導の性質を有するデータを使用し、または端的に偽造されたデータもしくは結果を使用していれば、たとえ競争相手を明確に指し示していなくても、虚偽の広告と認定され、処罰されるおそれがあり、これは比較広告のもう一つの更に重大なリスクとなります。

このほかにも、広告主は比較広告を出稿する際には、さらに、広告中の用語に特に注意を払うべきで、これにより用語の不適切性に起因した商業上の誹謗中傷の構成、または「絶対化用語」禁止の強行規定への抵触を回避する必要があります。

2. 比較広告の法的責任

「広告法」第五十五条においては、次の旨が規定されています:「本法の規定に違反し、虚偽の広告を出稿した場合においては、市場監督管理部門が、広告の出稿停止を命じ、相応の範囲内における影響の排除を広告主に命じ、広告費用の三倍以上五倍以下の過料に処し、広告費用を計算することができず、又は明らかに著しく低かったときは、二十万元以上一百万元以下の過料に処する。二年以内に三度以上の違法行為に及び、又はその他の深刻な情状のあったときは、広告費用の五倍以上十倍以下の過料に処し、広告費用を計算することができず、又は明らかに著しく低かったときは、一百万元以上二百万元以下の過料に処し、営業許可証を没収することができ、かつ、広告審査機関が、広告審査許認可文書を取り消し、一年以内においては違反者の広告審査申請を受理しない。」さらに、「広告法」第五十九条においては、次のとおり規定されています:「本法第十三条の規定に違反し、広告がその他の生産管理者の商品·役務をおとしめたときは、市場監督管理部門が広告の出稿停止を命じ、広告主を十万元以下の過料に処する。」

上述の行政処罰のほかにも、広告主が違法な比較広告の出稿により、不正競争を構成し、競争相手に損害をもたらした場合には、さらに、これにより競争相手から提訴され、損害賠償責任を命じられるおそれがあります。もしも比較データ·結果等の偽造行為により、比較広告に消費者に対する詐欺を構成させたときは、「消費者権益保護法」第五十五条の規定によると、広告主はさらにこれにより「代金の返還とその三倍の価額の賠償」の責任を負担しなければならないおそれがあります。

3. 比較広告のリスクヘッジの対策

比較広告は危険ですが、しかし、時には宣伝プロモーションのニーズから、この種の広告形式を採用せざるを得ない場合には、以下の措置を通じてできるだけ関連の違法リスクを引き下げるようお考えいただくことができます。

  • 自己比較を行うこと。すなわち、広告主が経営する商品の中の新規製品と旧製品の間や、高級装備と低級装備の間の比較であり、この種の比較形式は、競争相手とその商品·役務に対していずれの評価も行わず、ただ広告内容の真実性を保証すれば、違法広告の潜在的危険性に触れることはありません。

  • 比較の過程·内容·結果の真実性と客観性を保証し、かつ、関連の書面の証拠を保留し、これにより偏っており、客観的ではなく、または誤解を生じる比較広告と認定される事態を回避すること。

  • 比較の対象に対しては、「堂々と名指し」すべきではなく、技巧的な表現を通じ、ある特定のブランド、または広告品以外の特定の業界·類型の他の競争相手を指し示す事態を回避すること。

  • 比較広告の作成、出稿にあたって、広告法専門家の意見を事前に確認し、適切なアドバイスを求めること。

4. おわりに

比較広告そのものは、必ずしも違法となるわけではありませんが、しかし、同時に否定できないのは、「自己比較」の場合を除いて、比較広告は実際のところは、安全パイと呼ぶには程遠く、慎重な対応が求められるという点です。

総じて述べますと、企業の比較広告の出稿は、合法性·客観的真実性·公平性·信義則·商業道德を遵守しなければならず、同時に、比較内容の証拠検索可能性、比較方法·対象の適切性、比較用語の規範性·正確性、および比較結果の全面性という要求を満たし、競争相手の合法的な権益を尊重し、他者の商業上の信用と商品の信用を傷付けず、虚偽のまたは偏ったデータを伝えず、人にあいまいさや誤解を生じさせないようにし、このようにして初めて、比較広告のコンプライアンスを保つことが可能になります。

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