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医薬情報担当者届出管理弁法の中国国外の薬品上市許可保有者に対する影響について(Q&A)

2020-11-05/ 弁護士コラム/ 張国棟 杜雲華

2017年1月24日に公布された「薬品生産流通使用政策の更なる改革と完全化に関する国務院弁公庁の若干の意見」において、医薬情報担当者(中:医薬代表/英:Medical Representative。以下「MR」)に対する管理の強化、およびMR登記届出制度の確立の必要性が提起されたのを受け、MR届出制度は立法の日程に組み込まれた。2017年12月19日と2020年6月5日の二度の公開意見募集を経て、国家薬品監督管理局は2020年9月22日に「医薬情報担当者届出管理弁法」(試行)(以下「届出管理弁法」)を公布した。これにより、業界内で激しい論争を巻き起こしたMR届出制度がようやく生まれ、2020年12月1日に正式な実施が始まる。本稿においてはQ&A形式の下で届出管理弁法の中国国外の薬品上市許可保有者に対する影響を重点的に分析し、検討させていただく。

Q1 中国国外のMAHは、どのように届出手続を履行すればよいのか?

A:

1. 中国国内の代理人を指定する必要性

薬品上市許可保有者(英:Marketing Authorization Holder。以下「MAH」)制度の全面的な実施を背景として、MRの届出と管理に対しても、MAHが責任を負うこととなっている。2019年に改正された「薬品管理法」との整合性を図るため、MAHが中国国外の企業である場合には、その指定する中国国内の代理人が、相応の責任を履行する必要がある[1]

2. 中国国内の代理人の条件

薬品管理法の規定[2]によると、MAHが中国国外の企業である場合には、その指定する中国国内の企業法人がMAHの義務を履行し、MAHと連帯責任を負担しなければならないとされている。2020年7月31日に公布された「中国国外の薬品上市許可保有者の中国国内における代理人の管理に関する暫定規定(意見募集稿)」(以下「代理人暫定規定」)においては、代理人が満たす必要のある条件は以下の通り規定されている[3]

① 中国国内で設立された企業法人であること

② 代理業務の従事に適した品質管理制度、および自らが負担する責任に適した品質管理システムを有していること。

③ 代理業務の従事に適したオフィス空間、通信方法、連絡先電話を有していること。

④ 製品のトレーサビリティを確保することのできる管理システムを有していること

上述の条件からも分かるとおり、中国国外のMAHが中国において設立する代表処は、法人資格を具備していないため、代理人になることはできない。薬品輸入代理業者や、その他のMAHと契約関係が存在している企業法人は、理論上では、中国国内の代理人として指定されることができるが、しかし、双方の当事者の間においては連帯責任を負担することから、仮に中国国内の代理人が指示のとおりに関連事項を完成しなかった場合には、中国国外のMAHはこれにより関連責任を負担するおそれがある。この観点から、中国国外のMAHが中国において設立した子会社または投資関係のある関係会社が、中国国内の代理人となるのが、比較的に穏当な選択である可能性がある。

3. 代理人の数

中国国外のMAHがたとえ多くの薬品登録証を持っていたとしても、ただ一名の代理人を指定することしかできず、さらに、中国国外のMAHは代理を代理人に授権した日から30営業日以内に自らの代理人の登録地の省級の薬品監督管理部門に届け出る必要がある[4]。 

このため、今後はMR届出プラットフォーム上において、中国国外のMAHにとっては、ただ単に、その届出を経た唯一の代理人が、中国国外のMAHの招へいし、または授権したMRに関する届出を行うことしかできない。制度間の整合性にかかわっていることから、MRの届出をある中国国内の企業に委託し、別の中国企業を薬品管理法の規定する中国国内の代理人として指定するという取扱方法は、現行の監督管理体制の下では、実現が非常に難しい。

一軒の中国国内の企業が同時に複数の中国国外のMAHの代理人になることは、果たして可能なのだろうか?「薬品管理法」と代理人暫定規定では、この点については、明確な制限が行われていない。しかし、実践の面から見ると、双方の当事者の連帯責任負担の属性により、この種の状況が実際に発生する可能性は、極めて低い。このほかにも、中国薬学会が公開している「MR情報届出プラットフォーム取扱マニュアル」においては、「一の組織は、ただ一つの薬品上市許可保有者アカウントのみを登録することができる」と明記されている点に、当職らは既に気が付いている。このため、仮に一軒の中国国内の企業が、同時に複数の中国国外のMAHの代理人になった場合には、法律上では明確に禁止されてはいないが、しかし、MRの届出を行う際に、障害が存在しているおそれがある。この点についてはさらに、後続の届出プラットフォームの運用に対して引き続き注意を払う必要がある。

Q2 中国国外のMAHはCSO等の第三者企業に引き続き委託し、薬品のプロモーションを行うことができるのか?

A:届出管理弁法第5条では、「薬品上市許可保有者は、医薬情報担当者と労働契約又は授権書を締結し、かつ、国家薬品監督管理局が指定する届出プラットフォームにおいて、医薬情報担当者の情報を届け出なければならない」と規定されている。このため、中国国外のMAHはCSO(Contract Sales Organization)等の第三者企業(以下「第三者企業」)に所属するMRへの授権の形式を通じ、薬品のプロモーションの実施を第三者企業に引き続き委託することができる。しかし、監督管理方式の変化により、中国国外のMAHは以下の事項には特に留意する必要がある:

1. MRに対する監督管理責任

届出管理弁法の実施前においては、中国国外のMAHと第三者企業との間には薬品プロモーション契約関係が存在しており、一方、MRと第三者企業との間には労働関係が存在しており、中国国外のMAHはMRに対する管理を直接行っておらず、MRの違法行為に対する責任を負担していなかった。しかし、届出管理弁法の実施後においては、MAHは招へいまたは授権したMRに対する管理責任を厳格に履行し、MRの法律で禁止されている行為への従事を厳格に禁ずる必要がある。違反の状況が存在しているMRに対しては、MAHは迅速に是正する必要があり、情状が深刻な場合には、学術プロモーション等の活動展開の同者への授権を一時的に停止し、かつ、同者に対して研修を行い、査定の合格後に改めて授権を確認すべきとなる[5]。これは、MAHがMRとの間において、直接の労働契約関係を有してはいないが、しかし、厳格な管理責任を履行する必要のある旨を意味している。どのように有効な管理を行えばよいのかというのが、中国国外のMAHの今後取り組んでいく必要のある課題となっている。

2. MRの違法行為に対する責任の負担 

届出管理弁法第14条では、「薬品上市許可保有者又は医薬情報担当者が、その薬品を使用した関係者に財物その他不正な利益を贈ったときは、当局は、『薬品管理法』、『反不正当競争法』等の関連法規に従って調査と処分を行う」と規定されている。

また、反不正当競争法では、「事業者の従業員の行為と、当該事業者のための取引の機会又は競争上の優位性の謀略を用いた獲得との間の無関係性を、当該事業者が証明することができる場合を除き、当該事業者の従業員が贈賄を行ったときは、当局は、これを当該事業者の行為と認定して処罰を行う」とされている[6]。将来的にMRの賄賂行為が上述の規定に基づいてMAHの賄賂行為と認定される可能性の有無については、なおも司法の実践における更なる明確化が必要とされている。しかし、MRの違法行為は届出プラットフォーム上における公示が行われ、関連情報を公示する際には、不可避的に授権者であるMAHの関連情報が言及され、MAHの業務上の信用と今後の入札に対して影響を及ぼすおそれがある。このため、MAHはMRへの授権時に、非常に慎重に取り扱う必要があり、かつ、MRに対する監督管理を強化する必要がある。

Q3 薬品のプロモーション実施を第三者企業に委託する状況の下で、中国国外のMAHはどのように自身のリスクを軽減すればよいのか?

A:前述のとおり、MAHはMRに対し、システム上の届出義務があり、厳格な監督管理責任を有しており、MRに違法行為があった場合には、授権者であるMAHも巻き添えを食うこととなるおそれがある。自身の法律リスクを軽減するために、MAHは第三者企業と締結する薬品プロモーション協議書の中に、以下の契約上の義務の増加するよう考慮することができる:

1. MRの届出情報の迅速な提供と迅速な更新の義務

MAHは届出管理弁法の規定に従ってMR届出情報の整備を迅速に遂行し、要求に従って自らのMR情報を入力?変更?確認?削除する必要がある。MR届出情報に変更のあった場合、MAHは30営業日以内に届出情報の変更を完成する必要がある[7]。このため、第三者企業は相応の情報を迅速にMAHまたはその代理人に提供し、かつ、更新し、これによりMAHの中国国内の代理人に、法律で要求されている届出を迅速に完成することができるようにさせる必要がある。

2. MRの厳格な選別

プロモーション協議書において、授権されたMRが満たす必要のある条件を取り決める。第三者企業は厳格に条件に従ってMRを選別する必要があり、MRがMAHの審査を通過した後に、MAHは初めて授権することができる。

3. MRの専属性

実践においては、第三者企業の中で、一名のMRが同時に複数のMAHの製品プロモーションを担っている状況が存在しており、届出管理弁法においてはこの状況に対して禁止されておらず、一名のMRの複数のMAHの名義の下での登記には、法的な障害は存在していないが、しかし、MAHに対して比較的に大きなリスクをもたらすおそれがある。数軒のMAHの授権を受けている状況の下では、一名のMRは同時に種々の薬品のプロモーションを行っている可能性があり、ひとたびコンプライアンス違反行為が生じた際には、MAHは互いの区分と自らの免責が困難になり、このMRに授権したすべてのMAHが一律に巻き添えを食うこととなるおそれがある。このため、MRの専属性の要求を考慮する必要がある。第三者企業は多くのMAHの薬品プロモーション実施委託を受けることができるが、しかし、特定のMRについては、特定のMAHの薬品のプロモーションを行う専属性を有すべきである。

4. 保証金または違約金の条項

MRのコンプライアンス違反行為がMAHに直接影響を及ぼすおそれのあることから、相応の保証金または違約金条項をプロモーション協議書に盛り込み、第三者企業のMRにコンプライアンス違反行為が発生し、かつ、MAHの評判や信用が影響を被る事態が引き起こされた状況の下では、MAHに対して賠償責任を負担する必要のある旨を、あらかじめ取り決めておくよう考慮することができる。

Q4 MRに対する研修の実施は法定の義務なのか?

A:2020年版の意見募集稿においては、MRに対する学歴と業務経験の要求を設定し、就業前研修を行い、職位能力要求と研修科目を設定し、かつ、研修状況を如実に記録し、研修科目には、法律?法規、職業道德教育、医学?薬学の専門知識、製品関連知識などの内容が含まれていなければならないという旨がMAHに要求されていた[8]。しかし、正式に公布された届出管理弁法においては、上述の内容が削除されており、さらには、MRに関する届出情報の中にも、研修の状況は含まれていない。このため、法的規定そのものから見ると、MRに対する研修の実施は、MAHの法定の義務ではない。しかし、これはMRの専門性に対する要求の引下げを意味しているのではなく、権限のMAHへの委譲を意味しており、MAHはMRに対する厳格な監督管理を行い、MAHが、実際の状況に基づいてMRの専門性を確保する必要がある。

Q5 中国国内の指定代理人とMRは労働契約または授権書を締結することができるのか?

A:届出管理弁法第5条では、「薬品上市許可保有者は、医薬情報担当者と労働契約又は授権書を締結し、かつ、国家薬品監督管理局が指定する届出プラットフォームにおいて、医薬情報担当者の情報を届け出なければならない」と規定されている。MRという業界の人員の流動性は、比較的に高く、毎回中国国外のMAHが労働契約を締結し、または授権書を発行するのは、確かに非常に不便なことである。

MAHが中国国外の企業である場合には、その指定する代理人が相応の責任を履行する。MAHの管理体制の下での代理人制度は、そもそも中国政府の中国国外のMAHに対する監督管理を解決するためのものであるため、仮に中国国外のMAHが代理人に授権する権限の中に、MRとの労働契約または授権書の締結が含まれている場合、代理人が関連の手続を履行することは、立法の趣旨に背いていないと解され、認可されるべきである。同様の道理に従い、届出管理弁法第8条の定めるMAHのウェブサイト上における自らが招へいし、または授権したMRの情報の公示義務も、中国国内の代理人が負担し、代理人のウェブサイト上において公示することができるものと考える。

Q6 中国国外のMAHにとって、MR届出情報表中の「統一社会信用コード」はどのように記入すればよいのか?

A:「統一社会信用コード」はただ中国の企業法人のみが有するものであり、中国国外のMAHにとっては、自らの指定する中国国内の代理人の統一社会信用コードを記入すべきであるものと理解している。


[1] 届出管理弁法第5条

[2] 薬品管理法第38条

[3] 代理人暫定規定第5条

[4]代理人暫定規定第2条、第7条

[5] 届出管理弁法第13条

[6] 不正競争防止法第7条

[7] 届出管理弁法第5条、第9条

[8] 2020年の届出管理弁法意見募集稿第4条

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