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中国「輸出管制法」の整理と解読

2020-11-18/ 弁護士コラム/ 張国棟 于喩

中国の「輸出管制法」は、2020年10月17日に十三回全国人民代表大会常務委員会の第二十二次会議において、表決をもって可決された。全五章、四十九条から成り、2020年12月1日から施行される。これは中国の輸出管制の分野における一つ目の統括的な性質を帯びた法律であり、その公布と実施は、中国における輸出管制関連の法的な体系と制度の基礎を正式に確立し、当面の国際面における新たな形勢の下での輸出管制業務のために、更に有力な法治の保障を提供する。

一、立法の目的

「輸出管制法」は2019年12月、2020年6月および2020年10月の三度の審議を経て、最終的に可決された。その立法目的は、「国家の安全と利益の保護、拡散防止等の国際的な義務の履行、および輸出管制の強化と規範化」とされている。

そのうち、「国家の安全と利益」は最も重要な立法目的として、輸出管制法の条文において貫徹されており、主として以下の面で体現されている:

  • 第三条においては、「総体的な国家の安全の観念」が、業務上の原則とされている。

  • 第十三条においては、「国家の安全と利益」が、管制品目の輸出申請に対して審査を行う際の最も重要な考慮要素とされている。

  • 国家の安全と利益に基づき、第四十八条においては、対等な報復措置が規定されている――「いずれかの国家または地区が、輸出管制措置を濫用し、中華人民共和国の国家の安全と利益を脅かしたときは、中華人民共和国は、実際の状況に基づき、当該国家または地区に対する措置を対等に採択することができる。」

  • 第四十四条においては、域外適用の效力が規定されている――「中華人民共和国の国外の組織と個人が、本法の関連輸出管制管理規定に違反し、中華人民共和国国家の安全と利益を脅かし、拡散防止等の国際的な義務の履行を妨害したときは、(中華人民共和国は、)法により取り扱い、かつ、その法的責任を追及する。」

前世紀の90年代の終わりに、拡散防止等の国際的な義務履行の必要性に基づき、中国においては既に、「化学品管理監視条例」、「核輸出管制条例」、「軍事品輸出管理条例」、「核デュアルユース品目及び関連技術輸出管制条例」、「ミサイル並びに関連品目及び技術の輸出管制条例」、「生物デュアルユース品目並びに関連設備及び技術の輸出管制条例」が前後して制定されていた。「輸出管制法」においては、上述の六部の輸出管制にかかわる行政法規が総括されており、これと同時に、第四十六条においては、「核その他管制品目の輸出は、本法に定めのないときは、関連の法律及び行政法規の規定に照らして執行する」と規定されている。

二、適用範囲

1. 管制品目の範囲

「輸出管制法」第二条の前二項の規定によると、「輸出管制法」は国家のデュアルユース品目、軍事品、核および他の国家の安全と利益の保護、および拡散防止等の国際的な義務の履行に関連する貨物·技術·サービス等の品目(以下併せて「管制品目」という。)に対する輸出管制に適用され、さらに、品目に関連する技術データ等のデータを含むものとされている。

管制品目には、貨物·技術·サービスが含まれている。これのみにとどまらず、草案の第三審議稿においてはさらに、技術データ等のデータも、管制品目として追加されており、立法の目的に対する実質的な貫徹が体現され、かつ、中国のデータ越境セキュリティに対する重視が体現されている。

2. 輸出管制の範囲

輸出管制における「輸出」に対しては、広義の解釈を行うべきであり、通常の場合に理解されている「中華人民共和国の国内から国外への管制品目の移転」を指しているだけではなく、さらに·個人への管制品目の提供」も含まれている。これだけではなく、「輸出管制法」第四十五条によると、管·保税物流センター等の保税管理場所から、中国国外への輸出も、同様に適用範囲内に属している。

これにより、「輸出管制法」においては、上位法として、個々の段階と各内容の網羅、および輸出管制に関連する制度と措置の円滑な実施のための基礎の構築が図られている。

三、主体

1.規制を受ける主体

「輸出管制法」を概観して見ると、そのうちの最も主要な規制を受ける主体は、輸出事業者である。さらに、いかなる組織と個人も、輸出事業者のために、輸出管制上の違法行為に従事し、代理、貨物運輸、郵便物の配達、通関、第三者電子商務取引プラットフォーム、金融などのサービスを提供してはならないとされている。このほかにも、輸出貨物の荷送人、通関代理企業、輸入業者·エンドユーザーなどの主体も、法定の義務が課されており、特に輸入業者とエンドユーザーはさらに、管制名簿制度にかかわっている(詳細については本稿の四の5をご参照いただきたい)。

2. 国家輸出管制管理部門

「輸出管制法」の第五条によると、国務院や中央軍事委員会などの輸出管制上の権限を負担する部門その他関連部門は、職責の分業に従って輸出管制関連業務を担当する。一般的に述べると、商務部、国家化学武器禁止弁公室(工業情報化部)、国家国防科学技術工業局、中央軍事委員会装備発展部などの部門は、依然として引き続き国家の輸出管制管理部門としての関連業務を担当する。

四、主要な制度

1. 輸出管制リスト

国家輸出管制管理部門は関連部門と共同で、輸出管制政策を制定し、輸出管制政策に基づいて管制品目輸出管制リストを制定·調整し、かつ、速やかに公布する。輸出管制リスト制度は最も汎用的な輸出管制管理制度であり、関連企業はリストの公布と調整の動向に対し、綿密な注意を払う必要がある。

2. 臨時的な管制

輸出管制リスト内に属しない貨物·技術·サービスに対しては、国家輸出管制管理部門はさらに、臨時的な管制を実施し、かつ、公告を行うことができる。実施期限は二年を超過せず、期限の満了前に速やかに評価し、評価結果に基づいて臨時的な管制の取消し、臨時的な管制の延長、または臨時的な管制品目の輸出管制リストへの追加を決定しなければならない。

3. 輸出の禁止

法による認可を経て、国家輸出管制管理部門は関連部門と共同で、関連管制品目の輸出を禁止し、または関連管制品目の特定の対象国家·地区、もしくは特定の組織·個人への輸出を禁止することができる。

4. 輸出許可制度

輸出事業者の管制品目の輸出への従事は、法により関連管制品目輸出経営資格を取得する必要のある場合には、相応の資格を取得しなければならない。これを基礎として、状況ごとに分けて許可の申請を行う:

  • 輸出管制リストに列挙されている管制品目または臨時的な管制品目に対しては、輸出事業者は国家輸出管制管理部門に許可を申請しなければならない。

  • 輸出管制リストに列挙されている管制品目および臨時的な管制品目以外の貨物·技術·サービスに対しては、輸出事業者は、関連貨物·技術·サービスが「国家の安全と利益に対する脅威」、「大量破壊兵器およびその運搬手段の設計、開発、生産又は使用への利用」または「テロリズム目的への利用」のおそれの存在を知り得ており、もしくは知り得べきであり、または国家輸出管制管理部門の通知を受けた場合にも、国家輸出管制管理部門に許可を申請しなければならない。

5. エンドユーザーおよび最終用途のリスク管理制度および管制名簿制度

国家輸出管制管理部門は管制品目のエンドユーザーおよび最終用途のリスク管理制度を確立し、管制品目のエンドユーザーと最終用途に対し、評価と調査を行う。

国家輸出管制管理部門は「エンドユーザー·最終用途の管理要求への違反」、「国家の安全と利益に対する脅威の可能性」または「管制品目のテロリズム目的への利用」の状況のある輸入業者とエンドユーザーを管制名簿に追加し、かつ、関連管制品目の取引禁止·制限、関連管制品目の輸出中止命令などの必要な措置を採択することができる。

輸出事業者にとっては、自身は規定に違反して管制名簿に追加された輸入業者·エンドユーザーとの間で取引を行ってはならず、特別な状況の下で、取引の実施が確かに必要な場合には、国家輸出管制管理部門に申請を提起することができる。管制名簿に追加された輸入業者·エンドユーザーにとっては、措置の採択とリスクの解消を経て、国家輸出管制管理部門に管制名簿からの除去を申請することができる。

五、法的責任

1. 刑事責任

「輸出管制法」第四十三条第二項においては、本法の規定に違反し、国家が輸出を禁止する管制品目を輸出し、または許可を経ずに管制品目を輸出した場合には、法による刑事責任を追及する旨が規定されている。中国の「刑法」の関連規定の下では、密輸罪、違法経営罪等の罪名の規制に抵触する可能性がある。組織的な犯罪に対しては、組織を罰金に処するだけではなく、さらに、その直接の責任を負っていた主管者その他の直接の責任者に対しても、刑事責任を追及しなければならないとされている。「輸出管制法」第三十九条においてはさらに、輸出管制上の違法行為により刑事処罰を受けた場合には、無期限で関連の輸出経営活動に従事してはならない旨が明確に規定されている。

2. 行政責任

「輸出管制法」に違反して行政処罰に処せられる行為の類型には、第三十三条から第三十八条までに列挙されている九種の状況が含まれており、いずれも過料の処罰に処することができる。そのうち、最高過料金額は、第三十七条の「輸出事業者が本法の規定に違反し、管制名簿に追加された輸入業者·エンドユーザーとの間で取引を実施する」という状況の下で発生する可能性がある。仮に違法経営額が五十万元以上であった場合には、違法経営額の十倍以上二十倍以下の過料が併科される可能性があり、すなわち、最高で一千万元近くに達し得る。さらに、情状が深刻なときは、関連管制品目の輸出経営資格が取り消される可能性がある。

輸出事業者が処罰を受け、処罰の決定が発効した日をもって、国家輸出管制管理部門は、五年以内において、同者の提出する輸出許可申請を受理しないことができ、その直接の責任を負っていた主管者その他の直接の責任者に対しては、その五年以内における関連輸出経営活動への従事を禁止することができ、同者は輸出管制の違法行為により刑事処罰を受けた場合には、無期限で関連輸出経営活動に従事してはならない。さらに、国家輸出管制管理部門は法により輸出事業者の違法な状況を信用記録に追加する。

六、JT&Nコメント

1. 輸出管制の関連動向への綿密な留意

情報の取得は、迅速な対応を行うための第一歩であり、企業の対応の積極性を体現することもできる。「輸出管制法」における輸出管制リスト、管制名簿、臨時的な管制品目などの随時公布·改正される内容について、関連企業は関連情報を速やかに取得した後に、リスクのスクリーニングを行うべきである。たとえば、上述の過料の金額が最高額に達する可能性のある「輸出事業者が管制名簿に追加された輸入業者·エンドユーザーと取引を行う」状況について、関連の輸出経営企業は管制名簿の公布·更新後に、速やかに経営上の決断を下し、法的なリスクと責任を回避する必要がある。

2.輸出管制内部コンプライアンス制度の可能な限り早急な確立と実施

関連企業は国家輸出管制管理部門が公布する関連業界の輸出管制ガイドラインに綿密な注意を払い、ガイドラインの指導に基づいて輸出管制内部コンプライアンス制度を確立·整備し、かつ、リスクの自己査定と評価を定期的に行うべきである。

「輸出管制法」第十四条においては、輸出事業者が輸出管制内部コンプライアンス制度を確立し、かつ、運営状況が良好なときは、国家輸出管制管理部門は、その輸出関連管制品目に対し、通用許可等の利便性の高い措置を採ることができるという旨が明確に規定されている。ここで注意が必要なのは、ただ企業内部におけるコンプライアンス制度の確立のみが必要となるのではなく、最も重要なのは、「運営状況の良好性」という条件の達成の必要性であり、コンプライアンス制度は企業内部において的確に実施され、かつ、執行されなければならず、ただの机上の空論と化せられてはならないという点である。 

以上


1. 本稿は、北京金誠同達律師事務所のホームページにて掲載ましたたコラム記事の和訳です。中国語原文URL:

https://www.jtnfa.com/CN/booksdetail.aspx?type=06001&keyid=00000000000000005011&PageUrl=majorbook&Lan=CN

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