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「原薬の分野における独占禁止に関するガイドライン(意見募集稿)」の内容の批評とご紹介

2020-12-16/ 弁護士コラム/ 李太陽

2020年10月13日に、国家市場監督管理総局は「原薬の分野における独占禁止に関するガイドライン(意見募集稿)」(中国語:「关于原料药领域的反垄断指南(征求意见稿)」、以下「ガイドラインの草案」)を公布し、公に意見を募集していた。一方、中国の独占禁止法執行機構はこれまでにも、十数件の原薬業界の独占禁止法違反案件を取り締まってきている。ガイドラインの草案の公布は、中国の薬品分野における独占禁止に対する監督管理の漸次的な強化のすう勢も反映していると思われる。

一、背景と概要

ガイドラインの草案は形式と構造の面においては、中国の「独占禁止法」の規定を遵守しているとともに、内容の面から見ても、中国の独占禁止法執行機構の医薬業界における独占禁止法執行の成果と実務経験が反映され、かつ、汲み取られている。ガイドラインの草案においては、冒頭部分にその趣旨が定められており、その目的は、原薬産業の健全な発展の促進、原薬の分野における市場競争秩序の擁護、消費者の利益と社会公共の利益の保護などにある。これらの対応措置の原因を突き詰めてみると、それは2015年の中国における薬品価格改革の下での大部分の薬品価格の開放以降、医薬業界に対する市場参入規制·許認可の特別性により、市場における競争が十分ではなく、各種の競争の排除·制限行為が存在しており、原薬と薬品の価格が大幅に上昇していたからであり、これは中国の医薬分野における大部分の独占禁止案件が2015年以降に発生していたことの原因でもあった。

二、関連市場の画定

関連市場の画定について、ガイドラインにおいては、原薬の関連商品市場が具体的な状況に応じて原薬生産市場と原薬取次販売市場への更なる細分化を要する可能性のあるものと規定されている。薬品の生産に対して特別な役割を果たす原薬は、一般的には単独の関連商品市場を構成する。これと同時に、同種の原薬の品質等級や適用範囲の差異も、関連市場の細分化を引き起こす可能性がある。実務を踏まえて見ると、関連商品市場が細分化されればされるほど、当事者の比較的に高い市場シェアの保有は、更に容易に引き起こされており、これが当事者の市場支配的地位の存在を認定または推定する際の重要な根拠になっている。

三、水平型独占的協定の具体的な類型の列挙

ガイドラインの草案においては、原薬の生産企業の間における共同生産、共同調達、共同販売、共同入札などの協定の取決め、および原薬の取次販売企業の間における調達数量、調達元、販売価格、販売数量、販売先などをめぐる協定の達成が、水平型独占的協定を構成する可能性のある旨が規定されている。ガイドラインの草案においてはさらに、原薬の生産企業は第三者(たとえば、原薬の取次販売企業、川下の薬品生産企業など)を通じた原薬の販売価格、生産量の規模、生産·販売計画などの機微情報の疎通を回避すべきである旨が特別に規定されている。過去の処罰事例を踏まえて見ると、医薬業界の事業者はたとえ情報を競争業者に自主的に提供していなかったとしても、仮に一致した行動を取っていた場合には、依然として独占的協定を構成する可能性がある。

四、転売価格の維持以外の垂直型独占的協定の明確化

ガイドラインの草案においては、垂直型独占的協定の形式、表現形式などに対する明確な規定が行われている。その規定によると、原薬の分野においては、垂直型独占的協定は主として、生産企業または取次販売企業と、川下の企業との間における取次販売協議書の締結を通じて達成され、口頭の取決め、書面の書状、電子メール、価格調整通知書などの形式を通じて達成される可能性もある。垂直型独占的協定は、直接的な制限の形式をもって表現することもでき、かつ、間接的な制限の形式をもって表現することもできる。このほか、転売価格の維持のほかにも、地域制限または顧客制限も、垂直型独占的協定を構成する可能性がある。取り締まられた医薬業界の垂直型独占的協定案件の中でも、既に地域制限と顧客制限にかかわっていた事例が存在している。

五、市場支配的地位濫用の表現形式の列挙

ガイドラインの草案および既に取り締まられた事例を踏まえて見てみると、中国の原薬市場における市場支配的地位濫用行為には、一定の共通性があり、これには例えば、不合理な高価販売、納品の拒絶、生産の制限、価格の引上げ、排他的販売または排他的代理の強制要求、売戻しの強制要求、抱き合わせ販売の強制、その他の不合理な取引条件の付加などが含まれている。ガイドラインの草案においてはさらに、原薬の分野における市場支配的地位の認定や、各種の市場支配的地位濫用行為の具体的な表現形式などに対する列挙が行われている。ガイドラインの草案においてはさらに、二社以上の原薬の生産企業または取次販売企業が、共同で市場支配的地位濫用行為を構成する可能性のある旨が規定されている。実務の面では、ある原薬の取次販売業者による市場支配的地位濫用案件の中で、独占禁止法執行機構が三社間の従業員の兼職、業務上の関連性、財務上の連絡などの面における支配的関係を根拠とし、三社が独占的行為を共同で実施していた旨を認定したことがある。

六、法定の申告基準に達していない企業結合に対する審査実施状況の規定

原薬業界における企業結合(中国語;「経営者集中」)について、草案においては、その他の業界と同様に、法定申告基準到達時における事前申告義務が規定されている。現在のところ、既に数件の医薬企業が法により申告せずに企業結合を実施したことにより処罰された事例が存在している。草案においてはさらに、原薬業界の特別性を考慮し、一部の原薬の品種の市場規模が相対的に小さく、事業者の年間営業額が法定の申告基準に達しておらず、自主的に申告せずに企業結合を実施した状況に対し、仮にその取引が競争を排除または制限する効果を有しており、または有する可能性のあった場合には、独占禁止法執行機構は調査を始動することができるという旨が特別に規定されている。

七、その他 

草案においてはさらに、原薬と薬品の特別性と機微性により、原薬の事業者による独占的行為の実施、特に、違法性を明らかに知り得ているにもかかわらず、依然として独占禁止調査を故意に回避する行為に対しては、厳重に処罰を下すという旨が規定されている。

このほかにも、ガイドラインの草案の原薬に対する定義(化学原薬、漢方薬、薬用賦形剤ならびに川上の化学工業原料および医薬中間体を含む。)に基づいて見ると、本ガイドラインの適用範囲は相当に広範である。このため、関連企業は後続の動向に対して綿密に注意を払い、かつ、できる限り早急に具体的対策を採択し、これにより関連の独占リスクを最大限に回避する必要がある。

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